2003年度全日本選手権10ダンス観戦記

競技本部長 溝口  稔

《平成16年2月8日 名古屋市公会堂開催》

 2003年度の全日本選手権10ダンスは諸般の事情により、年が明けて2004年2月8日に名古屋市公会堂において開催された。
2004年世界10ダンス選手権の開催は、オーストラリアのメルボルンに於いて、12月12日に行われることが既に決定しており、選手はその大会に出場する代表権をかけて本日の大会に臨んだ。

 出場エントリーは16組。昨年3位の加藤組が引退し、5位の菅谷組が不出場、大秋組がエントリーはしてあったが欠場と少しさびしかったが、若手ユースの吉川・白井組と14歳のカップルの川島・小嶋組の10ダンス初挑戦、またラテンファイナリスト治面地・山崎組、高橋・木戸組の10ダンス初参加があり、新しい時代を迎える予感を感じる大会となった。

 1次予選は欠場が2組あり、14組で行われ、その結果13組が準決勝に進出した。
その顔ぶれは、一昨年優勝の石原・齋藤組、オールラウンドの渡辺組、夏見組、菅原組、高校生の久保田組、吉川・白井組、ベテラン望月組、中学生の川島・小嶋組、ラテン得意の治面地・山崎組、高橋・木戸組、九州の田中・平尾組、神奈川の田中・小林組、地元愛知の松下組である。
ラテン系の高橋・木戸組はスタンダードでは苦戦して、仕切り点ぎりぎりで予選通過を果たした。ジュニア川島・小嶋組はアダルトと少しも見劣りしない踊りで注目が集まった。長野の後藤組は残念ながら予選落ちとなった。

 準決勝戦では、若手の前回チャンピオン石原・齋藤組がフルチェックで余裕の通過、久保田組もスタンダード、ラテンともに平均した力を発揮して通過した。反対に1次予選では注目を浴びる踊りで、もしかしたら決勝に進むかと思えたジュニア川島・小嶋組は、準決勝ではプレッシャーか、のびのびとした動きが見られず、残念ながら敗退。未だ若いカップルなので、今回の経験を次回に生かして今後の活躍が楽しみです。

またユース吉川・白井組も大健闘であった。ラテンの伸びがもう少しで、惜しくも2チェック差で決勝入りを逃したが、スタンダードでの足裁きの美しさには非凡なものが感じられ、今後が大いに期待される。
高橋・木戸組は準決勝で大健闘したが、惜しくも1チェック差の次点で無念の敗退となり、ベテラン望月組が決勝にすべりこんだ。
昨年2位の渡辺組も余裕の通過、ラテンに強い夏見・柳堀組もスタンダードでもなかなかの力を発揮して、決勝入りした。
注目は初出場の治面地・山崎組だ。ラテンでそつなく点数を稼いでの決勝入り、本人もびっくり、スタンダードのワルツでは、ベーシックのみで踊りきったのは立派。
この組の決勝進出が順位結果を大きく左右したようであった。

本年の決勝戦は前半競技がスタンダードであった。
前半のスタンダードでは、勢いのある石原・齋藤組がT、V、Qの3種目に1位を獲得、渡辺組は得意のスタンダードでW、F2種目の1位とやや苦しくなった。
久保田組はスタンダード全種目3位を獲得の大健闘で、ラテンも力があるので、2位進出のチャンスとなった。
後半競技のラテンで石原・齋藤組はそのまま勢いを持続して、ラテン全種目に1位を獲得し、ダントツの優勝、見事10ダンス2連覇を果たした。今後精進しての世界戦での活躍も期待される。
2位争いは、若手久保田組がラテンをやや苦手とする渡辺組を抜いての準優勝となり、高校生卒業に花を添えた。

 渡辺組にとっては、決勝組にスタンダード系の選手が少なく、オールラウンドの若手とラテン系の選手が多かったことが不運だったかもしれない。
治面地・山崎組の初出場での4位は立派であった。

 優勝した石原組は、オナーダンスでスピード溢れるクイックを披露し、最後まで観戦していた満員の観客からヤンヤヤンヤの拍手喝さい。アンコールに答えてタンゴも踊り、皆興奮に酔いしれての終了となった。

結果
優勝  石原 正幸 ・齋藤 愛  (東京都)
2位  久保田 豊 ・久保田 幸 (静岡県)
3位  渡辺 和昭 ・渡辺 裕美 (神奈川県)
4位  治面地 良和・山崎 涼子 (千葉県)
5位  夏見 和彦 ・柳堀 恭子 (千葉県)
6位  望月 洋一 ・望月 幸子 (神奈川県)