2013年度全日本選手権10ダンス観戦記


《平成25年2月10日 名古屋市公会堂開催》

競技部長 山口  剛
 2013年度の全日本選手権10ダンスは、10年続けて名古屋市公会堂において開催されました。2006年、モスクワで開催された世界10ダンス選手権では石原−斎藤組が、2007年、東京体育館で開催された世界10ダンス選手権では瀬古組が、そして2009年、南アフリカでの世界ワールドカップ10ダンスでは久保田弓椰−蘭羅組がそれぞれ見事決勝進出しており、世界で戦える選手を輩出してきたこの競技会ですが、一方、このうち2組は世界のファイナリストとなった後、この大会で優勝を逃し、代表権を失うという試練も経験しています。2014年世界10ダンス選手権はラトビア・リーガでの開催が予定されており、その代表権をめぐって今年もレベルの高い戦いが繰り広げられました。
 エントリーは11組出場9組、審判員は9名で開催されました。昨年初出場初優勝のオレクシー・グザー−太田吏圭子組、10回連続出場一昨年までの3連覇から返り咲きを狙う北海道の久保田弓椰−久保田蘭羅、3年連続決勝入賞の関根チョーマ−沼田まな美組、初出場ながらスタンダード、ラテンともグランプリシード選手の玉井征爾−岩澤桃子組の4組が安定した踊りで決勝進出を確定。昨年次点に泣いた新井光斗−甘利このみ組が今年はジャイブだけでなく10種目に安定した実力を見せ、見事初ファイナル。もう1組はラテン21チェックと出遅れたものの、スタンダードでほぼ満点の43チェックを獲得し逆転で中学生カップルの金井大輝−城田夕希穂組がファイナル入りを決めました。地元の星野浩基−浅井舞子組は前半ラテンで決勝圏内だったもののスタンダードの点数が伸びず、惜しくも次点。佐藤寿一−佐藤美奈子組(岡山)、長屋勝也−長屋雅苗組(三重)は得意のラテンで思ったほど点が伸びず、スタンダードもブレーキとなり、準決勝で敗退しました。

決勝戦は前半競技がスタンダード。オレクシー・グザー−太田吏圭子組がパワフルな動きで圧倒し、5種目とも1位、ラテンでも5種目2位をキープ。久保田弓椰−蘭羅組はラテン5種目ともリズミカルかつ良くリハーサルされた踊りで1位を獲得、スタンダードでも5種目2位をキープ。6年前の瀬古組対石原組以来の順位点同点、全審判員全種目のオールスケーティングとなり、2位以上の数84対69で久保田弓椰−蘭羅組が逆転で返り咲き優勝を果たしました。3位にはプレゼンテーションで会場を沸かせたもののやや評価が分かれた関根チョーマ・沼田まな美組が入りました。4位はラテンで複数の審判員から6つの2位を獲得し、優勝争いに影響を与えた玉井征爾−岩澤桃子組、5位には女性審判員から高い評価を受け(Jでは女性審判員から2位と3位をゲット)、ラテンで存在感を示した新井光斗−甘利このみ組、6位には最年少ながらスタンダードに非凡な輝きを見せた金井大輝−城田夕希穂組が入りました。

 今年は、上位3組によるオナーダンスが披露され、会場は最後まで活気に溢れ、大会の幕を閉じました。来年以降も高いレベルでの10ダンス代表権争いが予想され、本当に楽しみです。

結果
順位リーダー名パートナー名所  属 
優勝久保田 弓椰  久保田 蘭羅   北海道2年ぶり4回目 
2位オレクシー・グザー  太田 吏圭子   東京都
3位関根 チョーマ  沼田 まな美  埼玉県  
4位玉井 征爾  岩澤 桃子  愛媛県  
5位新井 光斗  甘利 このみ  長野県  
6位金井 大輝  城田 夕希穂  北海道